2025.06.20
【社員インタビュー】CO2は地域を繋ぐキー?!開発リーダー川瀬広樹が描く、地元CO2で創る未来
【社員インタビュー】CO2は地域を繋ぐキー?!開発リーダー川瀬広樹が描く、地元CO2で創る未来
こんにちは!地元CO2ブランディング担当のかねまきです。
今回は「地域CCU」プロジェクトでCO2回収液化システムの開発リーダーである川瀬広樹さんにインタビューしました!私たちの暮らしとCO2削減の意外な関係や、地域CCUがもたらす未来について、じっくりお話を伺ってきました。
地域CCUって一体なに?地元CO2とは?
かねまき: 川瀬さん、本日はよろしくお願いいたします!早速ですが、地域CCUとは一体どのような取り組みなのでしょうか?
川瀬: こちらこそ、よろしくお願いいたします!そうですね、地球温暖化の原因とされるCO2の削減は、私たち人類共通の大きな課題です。しかし、意外と知られていないのですが、CO2は資源としての側面も持っているんです。地域CCUは、地域から排出されるCO2を集めて、精製し、地域の資源として利活用する取り組みです。CO2を回収して活用することをCCU(Carbon Capture and Utilization)と呼びますが、これを地域で行うので「地域CCU®」と呼んでいます。
かねまき: なるほど!CO2を資源として捉える、というのは面白い発想ですね。ところで、地域CCUと「地元CO2」という言葉には、どのような関係があるのでしょうか?
川瀬: 良い質問ですね。「CO2削減」というと、どうしても企業や政府といった大きな単位での問題として捉えられがちで、一般の生活者の方々には少し遠い話に感じられてしまうのが現状だと思います。しかし、一般に多くの企業の活動は、最終的に生活者の皆様にお金を出していただくことで成り立っています。だからこそ、ただ環境に優しいだけでなく、生活者の方々が進んで選んでくれるような商品やサービスになれるよう、私たちの想いを込めて共感していただく必要があると考えています。
そこで生まれたのが「地元CO2」という言葉です。地域の中でCO2を循環させる地域CCUという仕組みの中で、「地元CO2」は生活者と企業を結びつけ、共に地元を持続可能な社会に変えていくための、いわばアイコンのようなものだと考えてください。

CO2を資源として活用するってどういうこと?
かねまき: CO2を資源として活用する、というのは具体的にどのようなことなのでしょうか?
川瀬: CO2は、身近なところでは炭酸水やドライアイスの原料になります。他にも、溶接のシールドガスやエアコンの冷媒など、様々な用途で使われています。一番イメージしやすいのは、植物の光合成に利用されることかもしれませんね。まだ研究レベルですが、将来には水素と組み合わせることで燃料(e-fuel)を作ったり、化学製品を合成したりすることも期待されています。
かねまき: 地域でCO2を活用することの重要性について、改めて教えていただけますでしょうか?
川瀬: CO2を回収して、精製して、運んで、最終的に使ってもらい、その結果できた商品を買ってもらう。ここまできて、ようやくこの取り組みに意味が出てきます。これは一社だけで頑張ってどうにかなるものではなく、多くの企業や生活者の方に共感していただき、連携を広げていくことが不可欠です。その共感を得て行動してもらうためには、自分たちが何に貢献しているのかを身近に感じ、実感してもらうことが重要だと考えています。だからこそ、地域という単位でCO2を循環させることにこだわっているんです。

プロジェクトにかける想い
かねまき: 川瀬さんが地域CCUを立ち上げたきっかけは何だったのでしょうか?
川瀬: 私たち製造業は、どうしてもCO2を大量に排出してしまいます。日々、試行錯誤しながら削減を目指していますが、これまでの延長線上にはカーボンニュートラルの明確な答えは見当たりません。残念ながら、日本は再生可能エネルギーや水素を十分に手に入れられる環境にはなく、新しい選択肢が必要だと感じていました。
そんな時に出会ったのが、廃棄物を資源として捉えるサーキュラーエコノミーという考え方です。サーキュラーエコノミーは環境面が強調されがちですが、社会的なつながりや経済的な成長もバランス良く実現できる可能性を秘めています。どこか環境問題をクリアするためには我慢や制約が必要だと考えていた私にとって、この考え方からの解放は非常に夢のある話だと感じ、地域CCUというコンセプトを作り上げました。
かねまき: このお仕事のやりがいや、逆に難しいと感じる点はどんなところでしょうか?
川瀬: これまでの「誰かから何かを買って、何かを作って、誰かに届ける」といった従来の考え方や仕組みでは、全く対応できないところに面白さと難しさの両方を感じています。
面白さという点では、今まで考えられなかったような組み合わせでのコラボレーションが生まれることです。例えば、愛知県の蒲郡市にはハウスみかんとごま油という全く異なる産業の有名な企業がありますが、これまでほとんど連携はありませんでした。しかし、CO2がこれらの産業を繋ぐきっかけになっているんです。
一方、難しさとしては、慣習や時間軸の違う業界同士が連携するため、様々な問題が発生することです。そういった課題を一つ一つ丁寧に紐解いていくのは、なかなか骨が折れる作業です。ただ、実は結構楽観的に捉えている部分もあって。どの企業の方、農家の方、団体の方、役所の方も、地域のためという共通の目的があれば、必ずそれに向かって一緒に答えを出そうとしてくれると感じています。だから、きっと何とかなるんじゃないかと信じているんです。
かねまき: 最後に、今後の展望と読者の皆様へのメッセージをお願いします!
川瀬: この地域CCUの活動は、あらゆる立場の方々とコラボレーションできる、非常に裾野の広い取り組みだと感じています。皆さんが生活されている地元の伝統や特徴を活かしながら、もっと楽しく、豊かで持続可能な街を一緒に作っていきたいと思っています。ぜひ、私たちの取り組みに注目していただけると嬉しいです。
まとめ
今回のインタビューでは、地域CCUの持つ大きな可能性と、その実現に向けて情熱を注ぐ川瀬広樹さんの熱い想いをお届けしました。
CO2を単なる排出物として捉えるのではなく、「資源」として地域で活用していくという発想は、私たちの未来を大きく変える可能性を秘めています。 日本特殊陶業株式会社は、これからも地域社会との連携を深めながら、持続可能な社会の実現に向けて様々な挑戦を続けてまいります。今後の展開にもぜひご期待ください!

プロフィール
日本特殊陶業株式会社 エネルギー事業本部 カーボンリサイクル開発部 CCU技術課 課長
2009年日本特殊陶業入社。総合研究所に配属され、水素製造装置の開発に従事。2021年より地域でCO2を活用する地域CCU構想の立ち上げメンバーとして参画。